カテゴリー「文化・芸術」の14件の記事

2008年6月29日 (日)

凶悪コラボ Wedgwood と Stratton

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 以前、ウェッジウッドのワイルドストロベリー柄の食器を集めかけて、危うく踏みとどまったという話をどこかでしたと思うのですが、本日のトップ写真はその踏みとどまった段階勢ぞろいで。
 トリオ(カップ&ソーサーとケーキ皿のセットを、「トリオ」といいます)と、中皿1枚とナプキンと、灰皿と小さなトレーです。ねえ、実際これだけあれば十分じゃないですか、一人暮らしでそんな食器ばっかりあっても!(…と自分に言い聞かせて踏みとどまったのですが、それを言ったら「顔がひとつしかないのにコンパクト200個も持っててどうすんだよ」という突っ込みも成り立ちます。あーあーあー、聞こえない聞こえない)

 まあ、これでワイス柄は打ち止め、と思ってましたらば、神様はとんでもない試練を私にお与えになったのでございます。

Hi3b0237 写真中央下に何気な~~~く鎮座しているのはコンパクト。そうです、Wedgwood ウェッジウッドと Stratton ストラットンのコラボで、ワイルドストロベリー柄のThe Queen型のコンパクトです。ご、極悪すぎる…
 あまりの反則的可愛らしさに、最初見た時は震えが来ましたとも。

 あ、ついでなので書いておくのですが、私がストラットンの解説などでよく「The Queen」とか「The Princess」とか「The Petit」とかご紹介しているのは、「形」のタイプであって、「大きさ」のタイプではありません。
 なんか直径8.5センチの「大きさ」をクイーンタイプ、7.5センチの「大きさ」をプリンセスタイプと間違っている方がいらっしゃったので、念のため。

 「形」の名称ですので、たとえば、円型の「The Princess」なんてありえませんよ。「The Queen」「The Princess」は、10弁の花の形をしたコンパクトです。「形」の、名称なんです。私のご紹介の仕方が判りづらかったのかしら、と悩んでしまいました(ストラットンのヴィンテージコンパクトの、「形」のタイプ違いと名称を日本語で紹介したのは、たぶん私が初めてなので…)。

Hi3b0239_2 コンパクトを愛する者として、できれば正しい知識が広がって欲しいし…この件に限らず、ショップさんが年代などを間違っているのは割合しょっちゅうあるので、そんなサイトを見かけるたびに、ど、どうしよう…と関係ないのにおろおろしてしまいます。「ここ違ってますよ」なんて言うのもなんか余計なお世話のような気もするじゃないですか。

 実は一度、ショップさんがコンパクトのメーカー名を間違っていたのを、メールで遠まわしになるべく穏便に、「素敵なコンパクトですねー。ところで、これはこうなんじゃないですかー?」みたいな感じで問い合わせたことがあるんです。結果、思いっきり無視されました…(泣)。クレーム、何癖だと思われたのかなぁ。そんなつもりじゃなくて、ただ正しく伝えて欲しかっただけなんだけど。
 それが軽くショックだったので、それ以来、個別にそういう指摘はしないことにしました。だからできれば、自発的に間違いに気が付いていただけるとありがたいです…という願いを込めて、今日もこつこつとブログを更新する私であった(笑)。

 閑話休題。

Hi3b0241 このワイルドストロベリー柄の「The Queen」は、おそらく80年代以降のもの。「The Queen」は、すべてお粉と固形白粉のコンパーチブルタイプになっていて、シフターと、固形ケースを押さえる金属枠、プラスチック枠が付いています。説明書や箱も付いた未使用の完品です。
 今まで何度も何度も書いていることですが、

 Stratton恐るべし。

 まさかまさか、ワイスだけじゃなくて、ハザウェイローズとか、他の柄のコラボもあるんじゃないでしょうね?ま、まさかね?ええーん、想像するだけで可愛い~~凶悪すぎる~~~。

Hi3b0243 ただし!念のため言っておきます。ウェッジウッドとストラットンのコラボは、ジャスパーのタイプもそうですが、表装が陶器なので当然他のストラットンよりもさらに重いです!非日常的に重いです!鞄に入れて持ち歩くと、その重さを実感しますよ。普段使い用に1個欲しい、という方はご注意くださいね。…ま、可愛いからいっかぁ!

 追記:トップ写真は本日の私のおやつでしたが、ケーキ皿に乗っているのはスコーンやケーキではなく、ずんだだんごです。可愛いワイスの上に、ずんだ。す、すいません、宮城県出身なんです…郷土を愛してます。いやほら、色合いは似合ってるでしょ?白に薄緑で!(←そういう問題ではない)

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2008年5月25日 (日)

ベルミュージアム

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 昨年2007年11月10~11日に、ヴィンテージコンパクトの展示会「華麗なるヴィンテージ・コンパクトの世界」を開催した時に、来場くださったみなさまの間で、日本製のコンパクトの中ではおそらく一番人気だった(といか、たぶん一番人目を惹いた)のが、写真のスーツケース型コンパクトです。

Hi3b0200 と言っても実はこのコンパクトは古いものではなく、1993年にカネボウから出された、30年代アメリカ製のヴィンテージコンパクトの「復刻版」です。しかもパウダー用ではなく固形用なので(90年代ですからねぇ)、今までブログではご紹介しなかったのですが、先日ちょっと面白い記事を見つけて、「そういえば」と思って引っ張り出して来ました。

Hi3b0201 面白い記事、というのはこれです。

 北京にて「世界のアンティークコンパクトコレクション展」を開催
 (リンク先はPDFファイルが開きます)

 くしくも同じ2007年11月に、カネボウが中国・北京で「アンティークコンパクト展」を開催していたのですね。お恥ずHi3b0202かしいですが、全然知りませんでした。ぜひ日本でもやっていただきたいですね、軽~く日本全国縦断で。

 で、この記事を読んでいて思い出したのが、ベルミュージアムです。

 記事内にある「カネボウ美容研究所」で所蔵しているヴィンテージコンパクトを、常設で展示していたカネボウ化粧品の美術館があったんですよ。
 その、「ベルミュージアム」の開館記念の記念品が、この復刻版スーツケース型コンパクトなのです。限定生産の非売品です。

Hi3b0203 確か、ネット上でもベルミュージアム所蔵のコンパクトが見られるサイトが2年くらい前まではあったはずなのですが(つまり、このブログ開始当時はあった)、ふと気がつけばサイトがなくなっていました。

 ご存じのとおり、カネボウ化粧品は2006年1月に花王株式会社の100%完全子会社になりました。再編の段階で、美術館は閉館したのだと思うのですが、はっきりしたことは調べられませんでした。
 ただ、上記の北京で開催された「コンパクト展」が「当社・美容研究所所蔵の」とあって「ベルミュージアム所蔵の」となっていないところをみると、やはり閉館したのでしょうね。

 美容研究所の所在地はカネボウ化粧品本社内、とあるので、所蔵のヴィンテージコンパクトも本社に保管されている、ということでしょうか。なんとか再び日の目を見て欲しいものです。

Hi3b0204 ちなみに、この復刻版コンパクトは、アメリカ出版のヴィンテージコンパクトのコレクション本にも「90年代のコンパクト」のページに、エスティのピンクリボンやゲランのメテオリットと並んで載っていました。そりゃ、素敵なデザインですものねぇ。

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2008年1月 6日 (日)

謹賀新年

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 あけましておめでとうございます。
 昨年中は大変お世話になりました。相変わらずのマイペースで参りますが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、年明け最初の更新は、なぜかコンパクトじゃなかったりして。
 いえ、実は年末年始と実家の方に帰省していたのですが、自宅に戻ると骨董市仲間からプレゼントが届いておりました。

 これが、とっても綺麗な、こっくりとしたミルクグラスの灰皿!

Hi3b0041 「どうしたの?これ」と聞いたところ、
 「初めてジャンクショーに行った時に、興奮して買ってしまったの、私、タバコ吸わないのに(笑)」

 …判る!嬉しさのあまり興奮してあらぬことをしてしまうのよね。私もそれで何度自分の判断力に疑問を持ったことか!(去年の新宿アンティークフェアで買ったフレンチブロケードのポシェット、あれは…いらなかったかも…などと)

 そういうわけでありがたくいただきまして、ふと考えたら灰皿もいろいろ集まっていることに気がつき、呆然。正真正銘、コレは集めているつもりはなかった!

 今回いただいたミルクグラスは、たぶん60年代くらいでしょうか?ジャンクショー出身(笑)なので、アメリカのものかな?なんて思ってますが、刻印などは何もありません。
 このミルクグラス特有の暖かさが、写真にうまく出ないのは残念~。灰皿として使わなくても、キャンディ入れとかに使えばいいのに、明さん~~(あ、名前出た)。というわけで、チョコレート入れてみました。ありがとうございます、大事にします。

Hi3b0034 普段、私が使っている灰皿は、イタリア製の陶器です。
 これはヴィンテージではなくて、10年くらい前にお気に入りだった輸入小物雑貨のお店で買ったもの。そんなに高いものではないんだけど、イタリア陶器特有の原色の、なのに素朴な色使いと図柄が気に入って、以来ずっと愛用中です。
 実は我が家の傘立てもイタリア陶器。好きなんですよね、イタリア特有の明るいデザイン。だから今年は、イタリア製のコンパクトがちょっと欲しいな~~。

Hi3b0035 コンパクトを集めている過程で入手してしまったのは(「してしまった」って何)、リモージュの灰皿2個。…これは灰皿というより飾り皿ですよね。いずれもおなじみ「オノレ・フラゴナール」の恋人柄のものです。コンパクトとおそろいで買ってしまいました。

 丸い方は、縁の緑色と金彩の色合いに一目惚れ。たぶん、真ん中のフラゴナールの絵がなくても、買ったと思います。この色のリモージュって珍しくないですか?日本ではあまり見かけませんよね。

Hi3b0036 四角い方はおなじみのリモージュブルー。このリモージュブルーの陶器、花瓶とか絵皿とかをそろえて並べるとゴージャスですよね。

 実は一時期、陶器にもかなり興味を持ったのですが、自分で自分を戒めました。私はコンパクトで手一杯!コンパクトは一生掛かっても尽きない趣味!もう陶器はやめなさい!
 というわけで、泥沼にハマらずに済んだのですが、なぜか今、同じことをバッグでやっているような気がします…

Hi3b0038 我に返る前にやはり買ってしまったのがウェッジウッドのワイルドストロベリーの灰皿。これは確か、やまとの骨董市で1000円くらいで買いました、ごめんなさい。

 普段使う小物も、こうしてみるとなんとなく「路線」に沿って集まっているような気がして面白いなと思いました。…いえ、集めているつもりはないんですが。

 さて、来週はいよいよ最大級の骨董市、骨董ジャンボリーです。今回は、個数よりも質で購入したいな~、なんて思っていますが…どうなることやら?
 今年はどんな出会いがあるか、とても楽しみです。

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2007年4月 1日 (日)

東のレート、西のクラブ

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 日本の粉おしろいの近代史は、1900年(明治33年)に長谷部中彦氏が、日本で初めての無鉛の粉おしろいを発明したところからスタートします(それまでのおしろいには鉛が含まれていて、いわゆる鉛害が問題になっていました)。

 この粉おしろいは1904年(明治37年)に、伊東胡蝶園(後のパピリオ)から、日本初の無鉛粉おしろい「御園白粉」として販売されます。

 明治期には近代的な意味での化粧品メーカーも続々と創業、化粧は上流階級婦人や水商売の人だけでなく、一般の庶民にも浸透して行きます。

 070401_2写真は大正~昭和初期の化粧品メーカーのコンパクト。
 三角のケースは「レート粉白粉」、丸いコンパクトは「クラブ白粉錠」と刻印があります。

 この2社は、「東のレート、西のクラブ」と並び賞され、とある訴訟の関係もあって、両雄・ライバルとして第二次大戦までしのぎを削っていました。

レート(平尾賛平商店)1878年(明治11年)創業
クラブ(中山太陽堂) 1903年(明治36年)創業

レート粉白粉 1910年(明治41年)販売
クラブ粉白粉 1911年(明治42年)販売

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 日本語の文字が右書きから左書きに改まったのは1943年(昭和18年)くらいのことですから、写真のコンパクトは1911~1943年の間の販売ということになります。

 三角形という、粉おしろいならではの自由な形が面白いレート粉おしろい入れは、鏡はなく厚みもあるので携帯用と家庭用の中間的な感じがしますね。材質はステンレスだと思います。表装に金の塗料が塗られています。
 1辺は約7センチ。コロンと可愛くて縁の模様もハイカラでお気に入り。戦前のパッケージデザインって本当に素敵ですよねぇ。

070401_5 一方のクラブ白粉錠。この「錠」の文字の意味がよく判らない…。裏面には、「"CLUB" COMPACT FACE POWDER」「NAKAYAMA TAIYODO OSAKA TOKYO」と刻印されています。…ということは、COMPACT=錠?ぴっちり閉まる、の意味かな?今後の研究課題ということで。直径5センチの小ぶりサイズ。材質は真鍮かな?表面の浮かし模様の鳥も素敵。

 さてレートとクラブ、1924年(大正13年)に「フード」という商標をめぐって訴訟が起こります。
 070401_6元々「レートフード」という美容液をレート(平尾賛平商店)が販売していて、後追いでクラブ(中山太陽堂)が「カテイフード」という美容液を発売、これにレートが異議を唱え、泥沼の訴訟劇が11年間続きます。
 1935年(昭和10年)に和解しますが、その後日本は軍国主義突入、化粧業界は大戦で壊滅的な打撃を受けます。

 1954年(昭和29年)に平尾賛平商店のレート化粧品が会社更生法申請、またくしくも同年、中山太陽堂のクラブ化粧品も整理(クラブコスメチックスがすべてを引き継いで再建)、「東のレート、西のクラブ」と謳われた両雄は、終焉を共に迎えることになるのです。

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2007年1月28日 (日)

スモーキン・クリーン

0128_2 コンパクトを集めている段階で知ったのですが、40~50年代の喫煙具メーカーの多くも、化粧用のパウダーコンパクトを製造販売していたことは、以前書きましたね。

 50年代の銀幕のスター女優たちのように、粋なシガーケースから煙草を取り出し、ラインストーンの散りばめられた小ぶりのライターで火を着け、ゆったりとくゆらす姿が似合うような、大人の女性ってかっこいいよなー、と思いつつ、日本中、いえ世界中が、喫煙の害に神経質な昨今、スモーカーが安心して煙草が楽しめるのは自宅と、同じくスモーカーの友人宅、分煙の行き届いた店、という現状では、特に女性が喫煙具のバリエーションを楽しむなんて、時代錯誤かもしれませんね。

 とはいえ、今日ご紹介する喫煙小物を見0128_3れば、その魅力も多少理解していただけるかも?

 まずはStratton社のシガレットケース。Strattonなので(笑)、おそろいのコンパクトがあるのは当然として、驚いたのはなんとおそろいのライターも発見!

 面白いことにこのライター、底の部分に「Stratton」のメーカーマークがちゃんとあるのですが、同時になぜか「Made In W-Germany」と書いてあるのですよ。どうやら、西ドイツの「Augusta Lighter」という喫煙具メーカーとコラボレートしたようです。ちなみにこの柄のコンパクトもちゃんと存在しますので、そろえて使ってたら素敵でしょうね。おそらく60年代の品。0128_5

 Strattonのシガレットケースは4個持っているのですが、 大きさ違いが2種類あって、小さい方は60年代くらい(同じ柄のコンパクトが60年代のものなので)、大きい方(青い薔薇の柄)は同じ理由で70年代のものだと思います。

 40~60年代くらいのシガレットケースが小ぶりなのは、昔の煙草はフィルターなしのショートサイズが主だったから。だからあまり昔のヴィンテージなケースをうっかり買ってしまうと、現行の煙草が入らない!という事態も。

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 写真は刻印などはありませんが、おそらくアメリカ製の50~60年代くらいのシガレットケース。ご覧の通り、現行の標準サイズの煙草は長すぎて入れられません。まあ、横方向に寝せれば可能ですが、そうすると金属製の煙草押さえの意味がなくなりますね。もしも、実際に使用する目的でヴィンテージのシガレットケースを購入するなら、チェックしておかなければならない重要なポイントです。0128_7

 ライターの方はあまり詳しくはないのですが、50年代くらいの女性用のライターでなんといっても素敵なのは、EVANSのもの。私は3個持っていますが、実際に使えるのは1個だけです。ちなみに石とオイルは、現行のジッポライターのものが使用可能です。考えたら凄いことですよね、50年前のライターが今でも使えるなんて。

0128_4 そんなワケで、今、私が実際に愛用しているケースとライター はこちら。

 シガレットケースは、コンパクトも販売しているアメリカのELGIN社のもの。ライターはEVANS社。おそらく50年代のものです。
 いずれも黒地に金の装飾で、メーカーは違いますが同じテイストなので、とても気に入っています。

 行き着けのお店でお酒を飲みながら、ケースやライターを玩び、時折煙草に火を着ける。私のささやかなくつろぎのひと時です。

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2006年12月 3日 (日)

クリスマスの贈り物

1203_5  さて、12月に突入し、「今年も押し詰まって参りました」感が街に満ち溢れる今日この頃。

 12月といえばクリスマス。私はクリスチャンではありませんが、典型的日本人なのでこういう、なんでも節操なく「自分とこのお祭り」にしちゃう国民性は、素直に好きです。
 だって街がなんとなく華やいで、ハッピーなクリスマスソングが流れてて、プレゼントなんにしようかな、なんて考えるだけでウキウキしますものねえ?ウキウキは女性を美しくする原動力ですから!

1203_6 50年代アメリカの化粧品の雑誌広告なども、気が付くとぼちぼちと集めているのですが、いわゆるクリスマスギフトの化粧品セットなど、イラストを眺めているだけでうっとりしてしまいます。
 考えてみたら、今でもクリスマスにはメーカーがクリスマスコフレを限定発売しますよね。時代国籍問わず、女性は綺麗な可愛いギフトセットには弱いものです。

 トップ写真の台座になっているのは、AVONのクリスマスギフトの広告です。一緒に写っているコンパクトは、色合いがクリスマスっぽいのを選んでみました。
1203_9 イラストは後にご紹介するCotyよりも、どちらかと言うとシャープな色使いが、洗練されていてとても素敵。額装はしてあるのですが、我が家にはもはや飾る壁がなくて(笑)、普段は床の上に直に壁に立てかけて置いてあります。

 さらにとってもキュートでカワイイのが、Cotyのクリスマスギフトの雑誌広告。今見ても、「これ欲しい!」と身もだえします。ああ!このグリーン地の「舞い踊る提灯(…だから、それはパフですってば)」柄のコンパクトが欲しい!欲しいのよ!
Coty_1_1  よく見ると、以前このブログでご紹介したENVELOPE(封筒)型のコンパクトも載っていますね。1203_10

 たぶん、こういうヴィンテージな雑誌広告は、写真ではなく「イラスト」なのも、ポイント高いんだと思います。写真よりも想像の余地があるというか、温かみがある。「ありのまま」を写し過ぎてちょっと実もフタもない写真よりも、イラストの持つそのあいまいさの中に、ギフトを選ぶ人の「心の内」が滑り込むような、そんな気がします。

 クリスマス限定と言えば忘れてならないのは、この時期に毎年出る、エスティーローダーの限定メタルコンパクト。あれも罪だなぁ、といつも思いますよ。ちなみに今年のコレクションは、こちら

 残念ながら、というか、幸いにして、というか、エスティローダーのメタル・コンパクトシリーズはプレストコンパクトなので、一応今の ところ、ヴィンテージパウダーコンパクトのコレク1203_8ターである私は微妙にテーマ違い、と自分を諌めて手を出してはいないですけど、手を出しちゃったら泥沼のヨカンがヒシヒシといたします。練り香水も同様ね。実際、すでにコレクターの方(つまり泥沼にハマった人)がいらっしゃいますしね。
 でも現行メーカーで、昔ながらの雰囲気のメタルコンパクトを定期的に出してくれているのってエスティだけなので、買わないまでも注目しています。ピンクリボンのシリーズ、可愛いよなぁ…(夢想中)。

 とにかくさておき何はともあれクリスマス。おしゃれして、素敵なアクセサリーや小物やお化粧道具をたずさえて、浮き立つ街に出掛けましょう♪

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2006年8月13日 (日)

生き残りを賭けた戦い2

0813_2  毎日暑い日が続きますが、みなさま体調にはお気をつけくださいね。

 さて、タイトルがなんだか「仁義なき戦い2」、みたいな感じでアレですが、以前、「生き残りを賭けた戦い」というタイトルで、白粉の主流がルースパウダーからプレストパウダーに移行する過渡期に、コンパクトメーカーが陥った試行錯誤のお話を書いたことがありました。その後、またちょっとその時期以降のもので面白いコンパクトがあったので、ご紹介します(先に「1」の方をお読みいただけますと嬉しく存じます)。

 まずはおなじみのStratton社製。
 金の地に金の飾り模様、3個のパールホワイトのビーズが上品で可愛らしいコンパクトなんですが、ひょいっとひっくり返しますと、いつもの星模様に「Stratton」のロゴ、そして下部に、現代のプレストパウダーケースにはおなじみの、レフィルを後ろから押し出すための「穴」が…

0813_5_10813_4_2 そうなんです、どうもこのコンパクトは、プレストパウダー専門ケースのようです。Strattonでプレスト専用は、初めて見ました。もしかしたら、どこかの化粧品メーカーとコラボしたのかもしれませんね。年代はよく判りませんが(なにしろ初めて見たので…)70年代より前ではないと思います。

0813_6_1 まったく個人的な感想なんですが、このコンパクトを入手した時、私は、お粉も固形も両方使えるように工夫を凝らして、なんとか生き残ろうと頑張っていたコンパクトメーカーの「雄」が、ついに白旗を揚げたような、力尽きたような、そんな寂しさを覚えました。

 所詮、大きさや形や厚みがまちまちの固形のレフィルをすべてカバーするコンパクトを作るのは不可能なこと。そんな、汎用性の少ない商品を量産しても、大きな成功は望めないでしょう。それでも、固形専用コンパクトを作らざるを得なかった、哀しさ、無念さ。

 Strattonは97年に他企業に吸収合併され、現在も企業の一部門として「Stratton England」のロゴでコンパクトを作ってはいますが、実はイギリス本土で作られてはいません。

 同じく、イギリスのコンパクトメーカー、KIGU OF LONDONのプチポワンのコンパクト。0813_80813_7_3
 このコンパクトはお粉と固形の両用タイプのコンパクトなのですが、これまたひょいっとひっくり返しますと、中央に丸いオヘソがあります。実はこの部分、バネの力で内部にぐっと押せるようになっています。
 裏側からこのオヘソを押すと、内側の底がぐにょんと押し上げられ、中のレフィルが持ち上がって取り出しやすくなっています。
 つまり、レフィル交換の際、ヘアピンがいらないということですね(笑)。この仕組みは現代にあっても十分に便利なんじゃないかなぁ?0813_9_1年代はやはり70~80年代でしょうね。

 やはり、この時期のコンパクトメーカーの工夫の多用さは驚きですね。なにしろ、生き残りが賭かっていますから、必死。

 こういう必死な工夫が、現代には欠けているのかもしれません。
 物があふれて便利になったように見えて、実は便利になりすぎて発想が貧困になってしまっているのかも。豊かなように見えて、貧しい。もっと自由な、臨機応変な発想が、私たちのひとりひとりに必要なのかもしれないなぁ、と、こういう古い美しい、そして工夫の凝らされたヴィンテージ物を見ていると、感じます。

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2006年6月25日 (日)

生き残りを賭けた戦い

Title_9  1940~50年代に全盛期を迎えたパウダーコンパクトは、しかしその後、ルースパウダー(粉状おしろい)より手軽で携帯に便利なプレストパウダー(固形おしろい)やファンデーションがメイクの主流になるに従い、徐々にその輝きを失っていった。プレストパウダー自体は20年代から存在していたが、この初期のプレストパウダーは、ケースと一体化していて詰め替えることは考えられていなかった。

 その後、ケースとレフィル(詰め替え用)を別々に販売するようになって、当然のことながら、化粧品メーカーは他社のコンパクトケースを購入されるよりも、自社のケースを買って欲しかった。メーカーごとに、またシリーズごとに、微妙にサイズや厚みの違うレフィルが販売され、ついに統一規格が定められることはなかった。

 つまりプレストパウダーやパウダーファンデーションの場合、他社のケースでは、レフィルがケースにピッタリ収まらないのである。コンパクトメーカーにとっては、存在の根源を揺るがす大問題であった。

 70年代に入ると、あれほどに隆盛を極めたイギリスのコンパクトメーカー、KIGU、Mascot、Le Rageなどは次々と衰退し、80年代にはほぼ姿を消してしまった。
 しかしコンパクトメーカーも、ただ黙って終焉を待っていたわけではなかった。

 あまり知られていないことだと思うが、70年代以降のコンパクトケースのほとんどは、ルースパウダーとプレストパウダー(パウダーファンデーション)の両方が使えるリバーシブル仕様になっている。

 イギリスで最後まで踏ん張り続けたStrattonは、70年代に、大きさがまちまちなレフィルに対応するため、「クイーンタイプ」と呼ばれる大型のケース(小さなケースに大きなレフィルを入れることは出来ないが、大きなケースに小さなレフィルを入れることは出来るので)に金属の輪を取り付けて、レフィルをセットした後、その輪を閉じてレフィルを押さえるという画期的な商品を発売する。

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   写真左は、金輪を開けてレフィルを置いた状態、右は金輪をセットした状態。これで、レフィルの多少の大きさの違いは問題にならなくなる。もちろん、シフターを置いて従来通りルースパウダーを入れることも出来る。

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 80年代以降のものになると、シフターの枠に多少の(本当に多少ではあるが)伸縮なら可能なプラスチックを用い、大きなレフィルの場合にはシフターなし、小さなレフィルの時はシフターをレフィル押さえに、もちろんルースパウダーの時は純粋にシフターとして、という3通りの使い方のできるコンパクトを販売した。このプラスチック枠は他社もそれぞれに多少の改良を加えながら、追随している。

 また、小さな道具を創意工夫することに掛けてはおそらく世界一ではないかと思われる日本において、コンパクトメーカーは、70年代にまったく独自の仕組みを開発していた。

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 写真左は、ルースパウダーを入れて使われる素の状態、右は同じコンパクトに固形のレフィルを入れた状態なのだが…よく見ると、コンパクト上部にふたつの小さな突起物があるのが判るだろうか。
 実はこの突起物にはバネの力が働いていて、ケースと大きさが違う固形のレフィルがぐらつかないように、押さえているのである!

 なんと涙ぐましい努力だろう。このように工夫を凝らしても、対応できるレフィルの大きさの違いは、せいぜい数ミリ程度だろう。それでも、各コンパクトメーカーは生き残りを掛けて必死に戦い続けた。1997年に、常に時代のトップを走り続けたStratton社が、ついに力尽きて倒れるまで。角型レフィルの登場は、瀕死のコンパクトメーカーにとってとどめの一撃だった。もはや、彼らにその難題を克服する力は残っていなかった。

 これは化粧品メーカーが犯した最大の罪だと思う。
 化粧品メーカーの仕事は、女性を美しくすることではないのか。外見だけでなく、その内面をも。「美」を生み出すということは、芸術を愛し、個性を磨き、工芸を愛でる、「心」を生み出し育むということなのではないのか。
 にもかかわらず「自社の製品さえ買ってくれればいい」という目先の金銭的利益に囚われて、ひとりひとりが自分の個性と好みに合った、その人だけの小さな美しい宝石箱のようなコンパクトケースを選ぶ喜びを、彼らは女性から奪ったのだ。

 今は誰もがみな、なんの面白味も変化もない、メーカーお仕着せのコンパクトケースを持っている。多くの女性はそのことに疑問すらいだいていない。
 かつて、その柔らかなてのひらの中でひとつひとつが花のように咲き競った百花繚乱のコンパクトケースは、今はひっそりと引き出しの奥に、骨董店の片隅に、ゴミ捨て場の底に、暗い湿った倉庫のどこかに、塵や埃や錆を被って眠っている。その花たちが息を吹き返すことは、おそらくもうないのだろう。

 これは化粧品メーカーの罪だ。その罪を、私は嘆く。

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2006年5月14日 (日)

シガーとパフ

Top

 パウダーコンパクトケースの歴史は、そのまま中流階級以上の女性の、社会進出の歴史です。良家の子女が家の中でつつましく暮らしていた時代には、「携帯用」のお化粧道具は必要ありませんでした。
 ビクトリア女王がイギリスを統治していた時代、進歩的な上流階級の女性が社会奉仕に精を出し、また看護婦や教師といった、教養ある女性の就労も認められるようになりました。そして20世紀初頭、オートモビル(自動車)の普及などにより、「外」に出る活動的な女性は社会的にも容認されはじめ、同時に女性が携帯する化粧道具にも工夫が見られるようになって来ました。

 トップの写真は、1911年の消印のある絵葉書です。3人の淑女がクリスマスの買い物を楽しんでいる図柄です。このような女性たちが持っていた初期のコンパクトケースは、直径2インチ(約5cm)ほどの、小ぶりのものでした。初期のコンパクトがなぜ小さかったのか、というと、どうやら「バッグが小さかったから」という、単純な理由らしいのが、面白いところ。

 とはいえ、20~30年代までのコンパクトは、まだまだ裕福な上流階級の一部の女性たちのものでしかありませんでした。その後、携帯用化粧道具が広く一般の女性にも広がり、機能的にも革命的な変化をもたらしたきっかけは、意外にも、第二次世界大戦。戦場に向かった男たちの代わりに、国内の企業の労働力を支えた女性たちに、携帯用の、しかも手ごろなお値段の化粧道具は必需品となりました。
 サイズ、機能、値段ともさまざまな種類のコンパクトが多数のメーカーから発売され、40~50年代はまさにコンパクトの黄金時代となったのです。

R3_1   写真は、ドイツのメーカー、ROWENTA社の「プチポワン(ニードル・ポイント)」のコンパクト。30~40年代のものです。
 ROWENTAは現在、アイロンや掃除機などドイツらしい実直な製品で定評のある家電メーカーとして知られていますが、1884年に創業された当時からしばらくの間は、文具、喫煙具、洗面具などの携帯小物のメーカーでした。

 女性が社会進出するに従い、同時に女性の喫煙も一般化して来ました。銀幕の上でマレーネ・ディートリッヒが美しく物憂げに紫煙をくゆらすさまに、当時の女性はさぞや憧れを抱いたことでしょう。シガーとパフの携帯は、当時の最先端の「かっこいい」女性の必須アイテムとなりました。

 そのせいかどうか、あるいは喫煙具メーカーの戦略の一環なのか、同じ「携帯用小物」のくくりで喫煙具メーカーがコンパクトを販売しているケースは珍しくありません。ドイツのROWENTA社以外にも、イギリスのdunhill、アメリカのEVANS、VOLUPTEなど、30~50年代くらいの間に、名だたる喫煙具メーカーはこぞってコンパクトケースを販売しています。

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 上は50年代EVANS社製の、おそろいのポケットライターと小型のコンパクトのセットです。 ゴールドトーンの金具に夜空の星々の表装。なんて小粋なんでしょう!ライターとコンパクトのセットの他、おそろいの柄のシガレットケースや香水瓶、ハンドバッグなどのセットも販売されています。
 このサイトの左側にamazonで見つけた洋書のリストがありますが、一番下の「EVANS BOOK」には、この凶悪に可愛いセットの数々が載っていて、写真を見ながらいちいち「可愛い!」「素敵!」と絶叫してしまった私です。

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 「紳士のメーカー」、dunhillも、20~30年代に創始者アルフレッド・ダンヒルの長女、メアリー・ダンヒルが女性向けの携帯小物をデザイン、販売しています。男の世界のイメージのダンヒルが、コンパクトなどの女性向け小物を販売していた、というのは面白いですね。

 上の写真のものは「メアリー・ダンヒル」ブランドのものではありませんが、50年代くらいにdunhillから販売された「CLEARVIEW」というコンパクトのシリーズの一品です。この「CLEARVIEW」というのがダンヒルらしい画期的な発明で、写真右側の、鏡の部分を横切っている金具、これがなんと、車のワイパーのように内側にふき取り用の布が付いていて、コンパクトを開けると鏡の上から下へ自動的に移動し、鏡に付着したお粉をふき取り掃除してくれるというスグレ物なのです!こういうメカニカルな工夫が、「男のメーカー」っぽいですねぇ。

V1  前にも「おそろい物は困る」という記事を書きましたが、こういろんなメーカーがコンパクトとおそろいのセットをいろいろと出してくれると、コレクターとしてはホント困ってしまいます。いえまあ、集めなきゃいいでしょ、という事ではありますが。
 右はアメリカのメーカー、VOLUPTEのちょっとオリエンタルな動物柄のコンパクトケース。まったくおそろいの柄のシガレットケースもあることは知ってるんですが、まだ未入手です。…って、やっぱり入手する気なんでしょうか、私ってば。だって柄が気に入ってるんですよぉぉ。

 なお、これらの喫煙具メーカーは、現在ではコンパクトの製造販売はしていません。とても残念なことです。上記のダンヒルの「CLEARVIEW」みたいな発想って、自動車レース用のゴーグルを作ったダンヒルという異業種ならでは、だと思うんですけどね。

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2006年5月 7日 (日)

ご当地コンパクト

Sippou  日本の50~70年代ヴィンテージコンパクトの隆盛は、ちょうど高度経済成長時期と重なります。
 骨董市などで見掛ける日本製のコンパクトは、化粧品メーカーの物を除くと地方のお土産品であることが、多いです。戦後の混乱がひとまず落ち着いて、さて、産業も、工芸も、観光も、とにかく日本中が「ガンガン行こうぜ」モードに突入していて、お土産品のコンパクトなど見ても、なんだかそういう「元気」みたいなものを感じます。

 考えてみれば、コンパクトの表面、というのは伝統工芸の技を、しかも適当な安価で楽しむにはうってつけですよね。タイピンやペンダントなどのアクセサリーはちょっと小さいし、さりとて花瓶や置物といった大物になると、気軽なお土産品としてはちょっと大仰で高価になってしまうし。
 まあそういう訳で、お土産用の「ご当地の伝統工芸コンパクト」は、日本のコンパクトの歴史の中で、ナニゲに一大勢力を占めている、と感じます。

Sippouhako_1  トップの写真は、七宝焼のコンパクト、3種。右上の桜模様のコンパクトは桐箱に説明書付きで、愛知県七宝町の特産品、となっています。 …ごめんなさい、私、「七宝町」という町があること、このコンパクト買うまで知りませんでした。上記の自治体のサイトなど見ると、尾張七宝焼に心からの誇りを持ってるがよく判って、気持ちのいいガンコ親父がうようよいそうで、なんだか微笑ましいです。
 桜の七宝がとても繊細で可愛くて、お気に入りの品です。

Zouganall  一方、こちらは象嵌(ぞうがん)細工のコンパクト、4種。
 左下以外の3つは「肥後象嵌」です。さらに上段の2個は、コンパクトの表装が違うだけで、象嵌の柄自体はまったく同じ。上段右側は桐箱に説明書が残っていて、それによるとこのコンパクトは「光助」という肥後象嵌工房のもののようです。この工房、まだ存在してました。サイトはこちら。ただ、製品リストを見るとコンパクトは現在は作られていないようです。これについては後述。
 肥後象嵌の歴史などは、こちらの熊本マイタウンのサイトが詳しいですので、ご参照ください。

 下段左も象嵌細工には違いないと思うのですが、どこの工芸かはよく判りません。中央の象嵌部分と、左右の紅白のエナメル部分のきっぱりとした対比がとてもモダンで、ちょっとアールデコっぽくて素敵ですよね。銀地に金の象嵌がどこの地方の工芸か、ご存知の方がありましたらぜひ教えてください。

Zougan2_1  ここまで紹介したコンパクトのうち、桜の七宝、おそろいの2個の肥後象嵌、アールデコっぽい象嵌細工の4個は、実は同じメーカーのコンパクトです。
 …え?言ってる意味が不明?ってゆーか、いままでの説明はなんだったの?

 はい、つまりですね、「ご当地の特産」なのは、コンパクトの表面の模様部分「だけ」、な訳ですよ。金属本体部分を作っているメーカーは同じ、「CROWN」というメーカーです。さっするに、この「CROWN」というメーカー、各観光地のお土産物の、「金属部分」の加工に、広いシェアを持っていたのでしょう。
 現在もこのメーカーが存在するかどうかは不明です。ただ、前述したように「光助」や、肥後象嵌のメーカーサイトの製品カタログに、すでにコンパクトが載っていないこと、オリジナルコンパクト自体が衰退し、消えつつある化粧雑貨・小物であることを考え合わせると、すでに廃業している可能性が高いなぁ、と寂しく思っています。

0507_02  その他、「ご当地コンパクト」をまとめて。

 上段左は、ご存知京都の西陣織コンパクト。
 上段右は、購入した方いわく沖縄のお土産だったという鼈甲(べっこう)のコンパクト。なお、鼈甲は、ワシントン条約で保護されているタイマイ(ウミガメの一種。1975年に掲載)の甲羅で出来ていますが、日本では、伝統工芸の保護の立場から国内で流通する分においては、規制対象外です(もちろん、海外の輸出入には規制がありますよ)。

0507_03  下段は謎のコンパクトです。
 左側は、彫金のコンパクトで絵柄は日本伝統の「花車」。ここまで紹介したコンパクトの中では、たぶん一番年代の古いもので、戦前から戦後くらいのものだと推測しています。
 右側はもっと謎で、焼物、だとは思うのですが、どこの焼物かさっぱり判りません。それどころか、確実に日本のものかどうかすら、不明です。でもこの柄ですからね~、西洋の製品とは考えづらい。いやでも、ヨーロッパのシノワズリやジャポネーゼ趣味というのもあるからなぁ。
 金属部分の雰囲気、中身の構成から察するに、意外に古い…40~50年代ではないかと思っているのですが。

All_2  追記。
 以上の通り、ご当地コンパクトもいろいろ持っていますが、お土産コンパクトの場合、なぜか「未使用品」が多いです。…あー、これって「お土産」の宿命だよなぁ。買った人ともらった人の利害が一致しないの。

 誰かが出張とか旅行とかでどこかに出かけて、奥さんや娘さんや恋人に「あ、これ綺麗じゃないか」と思ってコンパクトをお土産に買う。ところが男性には化粧雑貨の細かいことは判らない。固形レフィルは同じメーカーのコンパクトでないと入らない、とか、ルースパウダーを使っている人は、意外に少ない、とか、そういうことは判らない。ああ、哀しいかな、お土産の綺麗な可愛いコンパクトは使われることもなく桐箱に入ったまま箪笥の奥に。

 我が家には、そんな「空振りしたお土産」が、たくさん集まっておりますですよ、大事に大事に磨いて愛でてますから、名も知らぬお土産購入者のみなさま、どうぞご安心くださいませ☆

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