カテゴリー「お手入れ方法」の2件の記事

2009年2月 1日 (日)

実験:シフターのないコンパクトを実際に使ってみる

Hi3b0359_3

 さて、ヴィンテージ・コンパクトには、しばしば「初めからシフターがない」コンパクトがあります。なんとなくアメリカ製のに多い気がする。Elgin American とかね。

Hi3b0363 もちろんそういうコンパクトは内ブタが付いていて、開けた途端にお粉が舞い踊る、などということはさすがにないのですが、現代の私たちの感覚で見ると、「シフターがないって不便じゃない?粉漏れひどくない?」と思ってしまいますよね。

 でも、そういうコンパクトがあったということは、当時の人はそれで使ってたわけだから使えないことはないはず。

 30~50年代のアメリカ製のコンパクトって、もう、最高に可愛くてゴージャスで上品で、絶対使いたいのよ、私は!…ということで、実験してみました。はたしてシフターが初めからないコンパクトは「使える」か?

Hi3b0361 実験に使ったのはアメリカ、ブリス・ブラザーズ Bliss Brothers のコンパクト。5.5センチ角の四角い小さいもので、鏡はポリッシュメタルミラー(金属鏡)、ミラーを開けるとオリジナルの頬紅が入っていますが、これはさすがに使わない(笑)。

 頬紅の上に「Bliss」のロゴが彫ってあって、お粉入れの内ブタの脇のふちに小さく「BB.CO」と刻印があります。

 ああ、この上品な豪華さ。手にした瞬間に、「これ使いたい!」と思ったのが、今回の企画の直接の動機です。

 ブリス・ブラザーズ Bliss Brothers は30~50年代にコンパクトを製造していたメーカーで、この小ささHi3b0365や無駄に凝った造り(だって見てくださいよ、ケースの脇のこんなところにもみっしりと飾り掘りがしてあるんですよ!)から見て初期のもの、30~40年代の戦前のものかなー、と思っています。

 実は2か月くらい前から普段日常で使っています。現在進行形。その結果、あくまでこのコンパクトに関しては、ですが、

 まず外への粉漏れは、ありません。

Hi3b0362 内ブタからコンパクトの内側への粉漏れは、あります。

 ただ、慣れるとこれも意外に気にならなくて、むしろ内ブタを開けずに漏れているお粉をパフに取って使う、という技が自分的に開発されました。だから、内ブタを開けることがあまりない、という面白い現象が。

 ただどうしても鏡が汚れやすくなるのと、パフをこまめに洗って乾かさないと古い金属なので緑青が出たりするので、現代ものの感覚で使うよりもメンテは頻繁になるかと思います。
 …まあ、メンテといっても気が付いた時に鏡を含めた内側をふく、とか、パフを清潔に、といった、当たり前のことなんですけどね。

Hi3b0364 古いものを綺麗に使うには、どうしてもひと手間が掛かります。ほら、ライターなんかもそうじゃないですか。古いオイルライターはオイルを入れ替えたり芯や石を代えたりと、使うには手間が掛かる。でも手間が掛からないから、という理由で、100円ライターの方が優れているか?100円ライターを使いたいか?と言えば、そんなことはないわけです。

 「手間を掛けること」も、ヴィンテージの小物を使う楽しみのうち。そう思える方なら、「初めからシフターのないコンパクト」も、状態さえ良ければ余裕で日常使いが楽しめると思います。

 注:ただし、「初めからない」のではなく「あったけどなくなった」場合は、コンパクト自体がシフターがあることを前提に製造されているので、シフターなしで使うのは難しいんじゃないかな、と思いますよ。


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2006年6月11日 (日)

使ってこそのヴィンテージ

Silver_stratton3  ヴィンテージコンパクトを集めるようになったそもそものきっかけは、「自分が使う携帯用のパウダーケースが欲しい」という、大変個人的かつ実用的なものでした。
 なにしろ現在の主流はプレストパウダー(型押しされた固形のおしろい)で、あまりルースパウダー(粉状のおしろい)を使っている人というのが少ないのか、なかなか気に入ったパウダーケースが見つからない。
 そこで私はふと考えた。以前は粉おしろいをパフパフと使っている人が多かったはず。だとすれば、もしかしたら化粧品屋さんよりも骨董店に、一昔前の、いいパウダーケースがあるかも!
 ちょうどその頃、親しい女友達に骨董市に誘われていて(彼女はファイアーキングを集めていた)、じゃあ、行ってみようかな、パウダー用コンパクトがあったらめっけもの、くらいの軽い気持ちで同行しました。…あったらめっけもの、なんてよくものん気に考えていたものだ。
Bluequeen_02_1  その初めての骨董市(スーパージャンクショーでした)で、初めて買ったのが以前紹介したイギリスStrattonの「クイーン・タイプ」の青い薔薇、アメリカ製の鎖の取れたキャリーオール、そして今回のトップ写真の、シルバートーンの彫金のコンパクトの3個です。これが、転落の序章になろうとは、その時の私は知る由もなかったのであります。

 このシルバーのコンパクトは、コレクション数が100個を超えた今でも、一番のお気に入りで、今実際に携帯して使っているのはこのコンパクトです。これを越えるものには、残念ながらなかなか出会えない。
Silver_stratton1_1Silver_stratton2_1 Stratton社の「Compact-in-Hand」マークが内ブタ(inner lid)に刻まれている、外周の直径が3インチ(7.5センチ)の(ストラットンにしては)小ぶりの「プリンセスタイプ」で、このコンパクトはたぶん50年代のものだと思います。この年代のストラットンのシルバートーンは、わりと珍しいです。表装は、若い男女4人とキューピッドと羊の群れが描かれています。羊飼いと乙女たちのロマンチックなピクニック風景でしょうか。クラッシックな図柄、ちょうどてのひらにしっとりと収まるサイズと重みが心地良いです。
 ただ、このコンパクトはいわゆるUSEDで、買った時に以前使われていた時の粉が、まだ少量残っていました。最初に言いましたが、私は「使うために」コンパクトを買ったのです。まずは、掃除だな。

 コンパクトに限らず、100年越えないいわゆるヴィンテージ物は、私は日常の中で使われてこそ、だと思っています。コンパクトだって、冷たいガラスケースの中でひとりで輝いているより、毎日女性の手の温かみに触れながら愛用されている方が、嬉しいと思う。だってその為に生まれて来たんだもの。
 そこで、前置きは長くなりましたが今日はヴィンテージコンパクトを日常で使用するためのお掃除法などご紹介したいと思います。

 まずその前に、極端に神経質な人は、やめた方がいいです。…いきなりのっけからネガティブだな(笑)。いやまあ、ようするに「誰が使ったか判らないものを使うなんて気持ちわるーい」と思う人は、そりゃあヴィンテージ物は無理ですよ、という事ね。残念ですが飾って眺めて楽しむだけにするしかありません。

Kumori_1  さて、ヴィンテージコンパクトを使用できる状態にする時に真っ先に、何よりも、一番に注意していただきたいのは、グラスミラーのコンパクトの場合は絶対に、絶対に水洗いしてはいけない、ということです。
  水分が鏡の裏側に入ると、鏡の裏の「塗り」が、ガラスからはがれてしまい、鏡が鏡として使い物にならなくなります。写真は、鏡の裏の箔がはがれてしまった物。このタイプの鏡の曇りは汚れではありませんから、いくら表を一生懸命磨いても、落ちません。というか、直りません。

 ではUSEDのコンパクトの掃除の仕方(写真は私の「コンパクトお掃除アイテム」一式です。プチポワンのガラス瓶にはコットンが入ってます)。

Set_1 1)まず、柔らかい歯ブラシとか化粧ブラシとかで、粉を全部落とす。100円ショップで売ってるような、安いブラシでいいです。ただし、「それ専用」にしてくださいね。

2)次に、柔らかい布で表面や鏡、中身を磨きますが、汚れが酷い場合は中性洗剤を薄く溶かした水で濡らして固く絞った布で拭いてください。でも鏡部分には注意してね。細かい部分は綿棒を使うといいです。

3)水拭きくらいでは落ちないガンコな汚れの場合

 値札シールの跡などのネバネバ。これ、親油性なので油で落ちます、サラダ油とか(笑)。ネバネバとよく混ぜて溶かしてから、中性洗剤を混ぜた水絞り布で、よーくふき取ってください。
 そしてお勧めなのは消毒用エタノール。ようするにアルコールで拭く。エタノールは薬屋で100mlのものが200~300円で売ってますので、ひとつあるとご家庭内でなにかと重宝しますよ。汚れ落としだけでなく、消毒になるので一石二鳥です (6月17日追記:ただし、表面がハンドペイントのコンパクトや、表面がエナメル加工されていないコンパクトの場合など、表装の材質によってはアルコールでペイントがはげる場合がありますので、基本的に内側・裏側の消毒にのみ、ご使用ください)。
 除光液などのシンナー系は使わないでください。塗りがはげる場合があります。

 さあ、ここまですれば、本体はもうピカピカなはず。問題は、シフターとパフです。

0611_6_1  シフターは、前述のブラシで落とせる粉はよーく落とし、汚れが酷い場合はぬるま湯で洗ってください。ただし網の部分が経年でたるんだり、もろくなったりしているはずですから、こすらず叩く感じで。洗剤は、市販のパフ洗い用のものでいいと思います。
 造りの良い古いタイプのシフターの場合、糸で周囲と網の部分が縫いつけられていますからわりあい丈夫で洗っても平気なのですが、問題は年代の新しいコンパクトのシフター。これ、プラスチック枠に網が接着剤で貼り付けられているだけの場合があります。ストラットンでさえ、70年代以降のものは、そう。このタイプのシフターは長時間濡れていると接着剤がはがれてシフターが破ける場合があります。ですから、洗うのも乾かすのも手早く。ドライヤーの「冷風」で洗ったらすぐに乾かします。
 洗うのが不安な場合は、乾いた布を下に敷いて消毒用エタノールを浸した布で、上からぽんぽんと叩く。ようするに着物の染み抜きの要領です。
 そして、ある程度のシフターの変色などには目をつぶる勇気も必要!(笑)

 最後にパフは…買ってください、これだけは新品を。
 直接肌に触れるものだから、というのももちろんですが、なによりスポンジが化学繊維の場合、経年による劣化が早く、たとえ未使用のデッドストック物でもぼろぼろになっていて使い物にならないことが多いです。幸い、シフターと違いパフはドラッグストアなどでサイズも材質もいろいろな物が売ってますから、好みのタイプを選べますしね。

 とりあえず、使うことを目的にヴィンテージコンパクトを買う場合は、コンパクトの表装の他に、鏡の箔落ち、全体の汚れ、シフターの状態なども手に取ってよーくご覧になって、「これなら許せる!使える!」という自分の基準と照らし合わせて買うといいと思います。
 多少の傷や使用感は、それも含めてヴィンテージ物の味わい、と思ってくださいね。

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