実験:シフターのないコンパクトを実際に使ってみる
さて、ヴィンテージ・コンパクトには、しばしば「初めからシフターがない」コンパクトがあります。なんとなくアメリカ製のに多い気がする。Elgin American とかね。
もちろんそういうコンパクトは内ブタが付いていて、開けた途端にお粉が舞い踊る、などということはさすがにないのですが、現代の私たちの感覚で見ると、「シフターがないって不便じゃない?粉漏れひどくない?」と思ってしまいますよね。
でも、そういうコンパクトがあったということは、当時の人はそれで使ってたわけだから使えないことはないはず。
30~50年代のアメリカ製のコンパクトって、もう、最高に可愛くてゴージャスで上品で、絶対使いたいのよ、私は!…ということで、実験してみました。はたしてシフターが初めからないコンパクトは「使える」か?
実験に使ったのはアメリカ、ブリス・ブラザーズ Bliss Brothers のコンパクト。5.5センチ角の四角い小さいもので、鏡はポリッシュメタルミラー(金属鏡)、ミラーを開けるとオリジナルの頬紅が入っていますが、これはさすがに使わない(笑)。
頬紅の上に「Bliss」のロゴが彫ってあって、お粉入れの内ブタの脇のふちに小さく「BB.CO」と刻印があります。
ああ、この上品な豪華さ。手にした瞬間に、「これ使いたい!」と思ったのが、今回の企画の直接の動機です。
ブリス・ブラザーズ Bliss Brothers は30~50年代にコンパクトを製造していたメーカーで、この小ささ
や無駄に凝った造り(だって見てくださいよ、ケースの脇のこんなところにもみっしりと飾り掘りがしてあるんですよ!)から見て初期のもの、30~40年代の戦前のものかなー、と思っています。
実は2か月くらい前から普段日常で使っています。現在進行形。その結果、あくまでこのコンパクトに関しては、ですが、
まず外への粉漏れは、ありません。
ただ、慣れるとこれも意外に気にならなくて、むしろ内ブタを開けずに漏れているお粉をパフに取って使う、という技が自分的に開発されました。だから、内ブタを開けることがあまりない、という面白い現象が。
ただどうしても鏡が汚れやすくなるのと、パフをこまめに洗って乾かさないと古い金属なので緑青が出たりするので、現代ものの感覚で使うよりもメンテは頻繁になるかと思います。
…まあ、メンテといっても気が付いた時に鏡を含めた内側をふく、とか、パフを清潔に、といった、当たり前のことなんですけどね。
古いものを綺麗に使うには、どうしてもひと手間が掛かります。ほら、ライターなんかもそうじゃないですか。古いオイルライターはオイルを入れ替えたり芯や石を代えたりと、使うには手間が掛かる。でも手間が掛からないから、という理由で、100円ライターの方が優れているか?100円ライターを使いたいか?と言えば、そんなことはないわけです。
「手間を掛けること」も、ヴィンテージの小物を使う楽しみのうち。そう思える方なら、「初めからシフターのないコンパクト」も、状態さえ良ければ余裕で日常使いが楽しめると思います。
注:ただし、「初めからない」のではなく「あったけどなくなった」場合は、コンパクト自体がシフターがあることを前提に製造されているので、シフターなしで使うのは難しいんじゃないかな、と思いますよ。
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